建築家・飯沼竹一のブログです。暮らしや住まい、家や建築、街などを通して見聞きしたこと、日々感じたこと、考えたことなどを気儘に手記にしています。四方山話も含めて呑気に続けて行こうと思います。 ご意見ご感想などお願いします。
有明客船ターミナル
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先日、車で出掛ける所用が都内にあり、その帰途にレインボーブリッジを渡り、何年ぶりかで有明客船ターミナルを見に臨海副都心に寄った。
 巨大なビックサイトの前に、設計の意図通り(?汗)目の上のたんこぶの様にたたずみ、竣工当時と変わらない姿に安堵した。
多少無粋な看板らしきものが張り付いたが、まぁ良しとしよう…(笑)

この水上バスの旅客ターミナルは、私が前事務所に勤めていたときの担当物件であり、一番時間と手間が掛かった思い出の詰まった建築である。多くの人と係わり、協働し4年あまり掛って完成実現にこぎ着けた。

始めてこの敷地を見に行ったのはたしか1992年だった。国際展示場(現ビックサイト)も工事前で、道路も当然無く、日の出桟橋から東京都港湾局所有の小型船で東京湾を行き、護岸に無理矢理横付けしてもらい上陸(?)した記憶がある。それから調査・基本設計がスタートし、その間バブル経済崩壊による臨海副都心の計画縮小や「都市博覧会」の中止などによって事業計画の見直しなどもあった。

東京都関係部署、港湾関係部署、警察、消防はもちろんのこと、あの地域は地下に巨大な共同溝があり、建設・管理事業者や電気・下水道・ガス・通信などのインフラ事業者などの打合せもあった。おまけにゴミ収集は大きな気送管にて清掃工場に直接吸い込まれ方式であったので、清掃局にも何度も協議に行った。
工事も護岸間際であることや、当時は四方が前途の共同溝や建築物の工事最中で、工事資材や工事車両の搬入にも苦労する有様。それでもゼネコンを始め各専門業者にも大変協力いただいた。

その中でもタイル工事はよく記憶に残っている。外装に使っているタイルはいぶし銀のように焼斑(むら)がでる特注タイル(227×60×12)で、工事が始まって間もない時期から色々と探したがイメージ合うものがなかった。
縁があって、佐賀県の岩尾磁器という有田焼の窯元のタイル工場に依頼したが、この工場には設計の意図を良く理解いただき、色合いや耐久性などを考慮の上で試作品を何度なく焼き直してもらった。最終確認は幅2m×高さ3mの合板に仮張した現物を有田の工場までこの目で確かめに行って決定した。タイル工場と設計者の想いが素晴らしいタイルを生み出し、そのお陰で今でも陽の当たり方によって微妙な色合いを見せるのである。(ちょっと手前味噌ではある…苦笑)

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最近の日本は経済上の理由から、古い建築から新しい建築に至るまで、安穏と存在できない状況にある。
昨年末にも黒川記章さんの六本木プリンスホテルや菊竹清訓さんのソフィテル東京ホテルの廃業・売却が発表された。ソフィテル東京は解体取り壊しも決まっていて12年という短命になる。建築界の巨匠のそれも有名な物件であるにも係わらず、残念な結果になるようだ。 http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20061228/503983/
日比谷の三信ビルももちろんのことだが、このような文化的な価値がある建築物を、経済的な理由だけで取り壊してしまう社会には、まだまだ成熟した欧州の国々には追いつけないであろう。

私が設計監理の担当した小さな物件など、両巨匠の有名建築や三信ビルと比較できるものではないが、設計という生みの親として、可能なかぎり有明のあの場所に存在し続けて欲しいと切に願う。
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耐震強度偽装事件はまだ終わらない
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ここに来てようやく、構造計算書偽造事件のもう一つの大きな疑惑の解明に向け動き出したらしい。
これまで、ほとんどのマスコミが報道せず、疑惑の追求がなされてこなかった水落建築士が係わった疑惑である。
国交省の発表によると、彼が代表を務める田村水落設計という構造設計事務所が関与した物件数は168件で、現在全ての物件について調査中らしい。
姉歯物件と同様に一設計士や検査会社に責任持たせて幕引きにならないよう願うと共に、どこまで解明できるか見守りたい。
また、この水落氏は(社)日本建築構造技術者協会(JSCA)の会員であり、構造設計業界、建築界で、更なる大きな波紋と影響を呼ぶことになるであろう。

今回問題になった京都市内のホテル2棟はAPAホテルの所有物件である。実はこのAPAグループの中核企業のAPAマンションの物件では、一年前に首都圏の2つの工事中物件での構造計算書偽造の疑いを告発されていた。
告発したのはイーホームズの藤田東吾社長である。
三信ビルの現状
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今日の昼過ぎ、日比谷を通る都合があり、三信ビルに唯一テナントとして残っているニューワールドサービスで、昼食を取るために寄ってみることにした。
午後1時頃であったが、大半がビジネスマンのお客さんでほぼ満席だった。
他のサイト情報などから2月一杯で立ち退き?などと噂されていたが、今日直接お店の人に聞いてみると、今のところ閉店も移転も予定は無いとの答えだった。

少しホッとし、食後にぐるりと見て回る…アーケードは半分が閉鎖され、階段、エレベーターホールも仮設の壁で塞がれている。 使っていない部分が多いせいであろうか、半年前より明らかに古びてきている。 外部もシャッターがほとんど下ろされ、この
ニューワールドサービスの一店舗のみ営業していることなど分からない雰囲気で、取り壊しを待つビルの寂しさを感じさせる……

前回のブログで紹介したが、先週16日に日本建築家協会(JIA)主催による「三信ビルの存続に向けて」というシンポジウムが開かれた。
そこでの情報によると、三信ビル所有者の三井不動産はビルの老朽化により取り壊す方針に変更はないとの見解をくずしていないらしい。
しかし、最近になって都市計画法の特別な手法を使って隣の日比谷三井ビルとの一体による再開発の可能性について、様々なところでで議論されるようになってきた。これは、存続あるいは再生に向かって僅かな希望を与えてくれている。
このシンポジウムには、音楽家のAricoさんが参加され、彼女の三信ビルへの想いを熱く語っていた。そして彼女の作ったその想いを託した「ピータース レストラン」というピアノ曲がBGMで流れていた。http://aricoblog.exblog.jp/

何れにしても、三信ビルの経済的事情と老朽化による取り壊しは、待ったなしの所まで来てしまっている。それを止めるためには、やはり多くの人に関心を持ってもらうことであろう。78年の時を刻んできた建築は所有者だけのモノでなく、一般市民にとっても文化的財産であることは間違いない。
保存・再生の声が高まれば、日本を代表する名門企業の英断を後押しすることができることと思う。そうなることを切に願うと共に、皆さんに関心を寄せていただけるようお願いしたい。

※保存・再生について署名・ご意見をお願いします。
「三信ビル保存プロジェクト」http://www.citta-materia.org/sanshin.php?catid=2
「三信ビルの保存を考える会」http://home.n03.itscom.net/


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ちなみに本日の昼食はポークカツカレーのランチ。ミニサラダとコーヒーがついて税込み900円。サクサクのカツと濃くがありピリっとしたカレーとよく合って旨かった!(笑)
明日「三信ビルの存続に向けて」というシンポジウムがあります


私が所属する(財)日本建築家協会(JIA)が主催する「三信ビルの存続に向けて」というシンポジウムが明日ある。
お時間があり興味のある方、参加してみませんか?
一般の方の参加を考慮した内容構成になっているとのことです。

日時:1月16日(火)18:00~20:30
場所:建築家協会関東甲信越支部
詳しくは下記を参照ください
http://www.jia.or.jp/event/event/2007/0116sanshin_frm.htm



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昨年、このブログ上でも書いたが、現在の価値では計り知れない建築であり、この時代に到底造ることのできない存在感と雰囲気を持っている。ディテールのだけでも保存利用できないのだろうか…三信ビルの記憶だけでも残して欲しいと願う。

上:1階アーケードの柱。明と暗があり奥行きを感じさせ、現在の建築にはない時間がある。
下:階段手すりのディテール。Rのついた手すりと手すり壁の組み合わせ。何とも艶っぽい雰囲気を持っていて溜息がでる。

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湯煙の中で…
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今年も正月早々からウチの子供達の体調は良く無かった…
事情があってこの2年近く家族で遠出する機会も無かったので、今年の正月休みには温泉にでもと計画していたのだが、以上の状況で出発前日まで迷っていた。
それでも子供達が目をクリクリさせて「温泉行きたい!!」って言うので、帰ってからの通院覚悟で行くことした。

前日、と言うより当日未明…(汗)に慌てて、ネットで関東周辺の温泉で宿泊できるところ探すと、さすがに無い!
そりゃそうだ…でも適当に当たってみていると、箱根強羅近くに家族向けの8+8畳の離れの客室が空いている温泉旅館を見つけた。でも箱根だけに料金がチト高い…サイトの案内も今ひとつか?…多少迷ったが、クリクリさせた目を思い出し、そのチビ達が騒いでも心配なさそうだし、今更贅沢言えないので、エイや!で予約した♪

快晴の中、箱根をドライブし4時前には宿に。
予想通り建物は古い。古いと言っても味がある訳ではなく、ただ古く時代に合っていないのである。
まぁ、宿の人は愛想がよく、至る所に鉢植えなどおいてど
うにか雰囲気を良くしようとの気持ちは分かるのだが…。ただ宿泊する部屋は、古いくさいが風情が少し残っていて、私としてはホッとした。

この旅館は、斜面に客室が点在し、それを渡り廊下で繋いでいて、玄関ロビーや帳場、風呂が一番高い位置にある。
そして風呂は谷に向かって眺望が良く、湯の温度も私にちょうど合って、とても気持ちが良く、かなりの長湯になる。

翌日は早朝よりかなりの雨だった。屋根の雨音で目が覚めた…それもかなりの音である(苦笑)

折角早起きしたのだから、ゆっくりと湯につかる。

窓を開け、雨音だけの静寂な場で、ヌボーっと考えた…この旅館もこの先どうなるのかな、と。
全面的にリニューアルしないと、いくら何でもこの先お客は呼べないだろう。ロケーションはいいが、施設は古いし、階段だらけで、お年寄りには気の毒である。自分だって、この風呂は好きだけど、リピーターにはならないだろう。


onsen02.jpgさて、ではどれだけ増改築すればいいか?うーん・・・コストを考えればこの旅館にそれほどの力があるとは到底思えない。現実は厳しい。

この
厳しい話は宿泊施設だけでのものではない。
今後少子高齢化と人口減少で、これまで使用されていた施設(文化施設や体育施設、学校、病院、集合住宅…)は、かなりの数を減らす必要に迫られている。その社会的なシステムやルールを早急に作らなければならないところまで来ていると思う。利用者が少なく採算の見込めない高速道路や新幹線、空港など造る余裕など無いのだ。
それにしても、自分は何と因果な仕事をしているのだろう…心地よい気分とは別に何だか考え込んでしまった。
(苦笑)
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春風献上!
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2007年がスタートした。
今年は少しゆっくりな始動になった。今年もどうぞよろしくお願いします。

何だか暖かい日が続き、この時期には珍しい大雨があり、強風の日々…地球が病んできているように感じる…今年は環境についても考えて行きたいと思っている。
それにしても新年早々から悲惨で暗いニュースが続く…政治にしても経済にしてもパッと明るくなるような話題は無い。
こんな世知辛い時代であるけど、気持ちだけは“明るく元気良く♪”と、負けずに頑張りたい。
皆さんにとっても幸多い年になりますようお祈りいたします。
そして、皆さまからのご指導、ご声援をよろしくお願いします。

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上:芦ノ湖スカイラインからの初富士
下:東金市岩川池の桜