建築家・飯沼竹一のブログです。暮らしや住まい、家や建築、街などを通して見聞きしたこと、日々感じたこと、考えたことなどを気儘に手記にしています。四方山話も含めて呑気に続けて行こうと思います。 ご意見ご感想などお願いします。
過度の合理化で大工がいなくなる
戸建て分譲住宅の大工は“半額請負”というとても目を引くニュースが日経にあった。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20081118/528175/



主に首都圏で低価格の木造分譲住宅を販売しているハウスメーカーの大工手間が2万5000円/坪というデータがでてきました。仮に30坪の住宅であれば一棟あたり75万円で与えられた工期は40日らしい。もちろん一人での作業…この中には交通費が入り、派遣の様な契約だから労災や雇用保険などの社会保障費もない。すさまじい雇用環境です。
一般的な住宅会社    では、大体5万3000円/坪くらいであると日経ビルダーという専門誌ではではリポートしています。
これではいくら合理化しても、低価格は達成できるが、良質な住宅はできようはずがありません。


随分前になるが、初めて木造住宅の設計をした時のことです。
親戚の住まいで2階建て100㎡くらいのコンパクトな新築物件で、それをある老舗の工務店に工事を依頼しました。

その工務店の大工棟梁は、かなりの腕とキャリアがある方で、その後幸運にも引退するまで何度か一緒に仕事ができ、多くのことを勉強させていただきました。
その当時は柱や梁部材を作業場で大工自らが鋸(のこぎり)、のみ、鉋(かんな)など道具を使い木材を加工し、それを現場に搬入して建て方を行っていました。
その現場でも、棟梁が工務店の作業場で刻んだ部材を現場で組み立てて上棟(柱や梁などの骨組みができた状態)しました。

たしか上棟後すぐに担当する大工と現場で打ち合わせした時だったと思います。
その大工が変なことを聞きました。
「階段の段数は13段に変更してはダメですか?」…私は聞かれた意図が分かりませんでした。
私の設計では、階段の段数を当時の木造住宅ではあまり例のない14段としていました。
以下その大まかな遣り取り。
大工:「14段は無いんです」
私 :「何が無いのですか???」
大工:「売ってない…」
私 :「階段が?売ってるいるも何も…」
大工:「…」
私 :「もちろん作るんでしょう?」
大工:「作ったことが無い…」
私 :「えー!!?」

その後、工務店に相談して大工を変えてもらいました。何でも工務店が多忙で常用の大工が手配できずに、知り合いに応援を頼んだらしのですが、その大工は建売の住宅しかやったことがなく自信が無いことを、工務店の棟梁に話せずにいたらしい。
何ともおかしな話だが当時は本当に驚きました。

そして、20年くらい経った現在。その時代を知る者から見ると驚くばかりです。
上記の部材の刻みは木造住宅建設全体の90%がプレカットになっているというデータがあります。
(プレカットとは、柱や梁などの木材の継手・仕口などを、工場に設置された自動工作機械であらかじめ加工すること)
もちろん現在では14段や15段の階段もセット販売されています。
私が持つ現場でも8割方プレカットです。ただ造作部分が多いので熟練の大工じゃないとなかなか対応できないかなと思いますが。

おそらく、ハウスメーカーの現場では、大工が鋸や鉋、のみを持っていないことでしょう。その手に必要なのはインパクトドライバーと電動丸鋸です。
構造部材はほぼ100%プレカット、階段もプレカット材。窓枠やドア枠も既製品。造付家具なども既製品を据え置くだけ。
なんとも寂しい現状です。大工職人ではなく、大工作業員となってしまっていると言っても過言ではありません。

プレカットを否定する訳ではもちろんありません。
専門的に考えればデメリットもあるが、ある一定以上の品質を確保した上でコスト削減ができるのだから、発注者としては有難いことだと認識しています。
しかし、…この状況が続き、過度の合理化が進めば、大工という職人は間違いなく居なくなる。
それも時代の趨勢でしかたないことなのか…
自分の設計した階段の加工している側で、しばし考え込んでしまいました。

これは何も大工だけの話ではありません。
左官や建具屋、塗装工などの技量が仕上がりに大きく左右する職種は同様です。

我々のような設計者もこれからの住宅、建築の技術織について、どうすべきか考える時にきていると痛切に感じました。

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真砂の家の階段ささら

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同上ささらと踏み板が組まれた状況





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師走の地鎮祭
先週土曜日に、新しい住宅物件の地鎮祭が、師走の晴天の中で行われました。

お施主さんとご家族と建設を請け負う工務店関係者、そして設計者の三者によるシンプルな祭事ですが、心を込めて工事の安全と素晴らしい住まいが無事できるよう祈願しました。



この「谷津の家」のお施主さんに、家の建替え相談をいただいたのがちょうど2年前の暮れでした。
当時お施主さん家族は、この敷地の近くの所有マンションにお住まいでした。
そして、当初はお施主さんがお母様を介護することも含めて二世帯住宅に建て替えたいとのご要望でした。

ところが、その建て替えを楽しみしていたお母様が、突然亡くなってしまいました。
当然のことながら、建替え計画は白紙になりました。
しかし、その半年後にお母様のご意志を継いで、お施主さんにとって実家であるこの地に住む決断をしたのです。

再度、私どもにご相談をいただいてから、約1年半にわたり、相当な時間を掛けて計画を進めてきました。
そしてようやく着工に至ったわけです。

とても嬉しくもあり、これからが楽しみであります。
お施主さんとご家族に喜んでいただける家を、是が非でも完成させたいと新たに誓いました。

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雨の中の餅つき
日曜日に、自治会の餅つきがありました。
主に子どもたち向けの行事で、午前中に餅つきで、午後からはクリスマス会。うちの子ども達も餅つきを大変楽しみしていました。


朝から生憎の冷たい雨が降り、「こりゃー延期か~」と思っていたのですが、雨合羽を着た役員、班長さん達が仮設テントを張り出しました。
ベランダから見ていて、人数が少ないようで大変そうに見えたので、急遽手伝うことにしました。

急いで仕度して集会室前の広場に行くと、自治会長さんがいたので、飛び入りで手伝う旨を伝えました。
そして「延期だろうと思っていましたよ」と私が言うと、「この臼や杵とか蒸し器なんかも、ほとんどレンタルだし、餅米も20kg買っちゃたから…止めるわけいかないし…ね」と言うことで雨天決行となったらしい。ご苦労様です。
この自治会は、マンション4棟、約300戸世帯の任意加入によって組織されている小さなコミュニティーです。世帯主も私の世代が大半で子どもが多いのも特徴で、いい意味で
ゆるい感じに加えて温かみがあります。

予定より30分遅れで、始めの餅米が炊きあがり、餅つきスタートになり、続々と子ども達がやってきました。
集会室の中では、奥様方がつきたての餅をちぎり分けて、餡ころ餅や黄粉餅、からみ餅、磯辺餅を作ってくれました。

つきたてのお餅を食べて、餅つきも興味津々で見つめる子ども達。
男の子の多くは実際に杵を持って餅つきを体験し満足顔でした。
おじさん達やおばさん達(おっと失礼…(苦笑 )も、ほっとした表情と笑顔で後片付けをして解散になりました。

季節毎の祭事や行事を行うことが、これからの子ども達に伝えていくことの大切さを感じた日になりました。
昨日の筋肉痛はその意義を改めて感じさせてくれたことは、言うまでもありません…(苦笑
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追記。
長らくブログの更新が無く、ご心配をお掛けした方もあった様で申し訳ございません。
これからはもう少しマメに更新したいと思います。
皆様からも温かく見守っていただければこの上ない幸せです。今後ともよろしくお願いします。


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真砂の家-現場状況
「真砂の家」の工事が佳境です。
http://atelier24blog.blog91.fc2.com/blog-entry-138.html

1階がご両親の住まい。2階がお施主さんの住まいで、上下の完全二世帯住宅です。

在来軸組工法で、時世代省エネ基準の高断熱・高気密住宅。
1階の住まいには、「王子台の家」で採用した床下暖房(エナーテック製)を設置しています。
基礎の結成、柱や梁等の部材、耐力壁や補強金物など取付位置や構法など構造計算によって決定しています。
建築基準法上の基準の1.5倍の構造耐力を確保するよう計画しました。

このあたりの詳細は後日改めます。


年内に外装がほぼ終わり、外部足場と養生シートが外れる予定です。
簡潔に画像でお知らせします。

なお、竣工予定は来月末です。
完成見学会を開く予定です。
ご興味のある方は、事務所までご連絡ください。


片流れの金属屋根。カラーガルバリーム鋼板の瓦棒葺きです。
手前に雪止め金物が見えます。
外壁には透湿防止シート(タイベック)が貼られ、外壁通気構法用の縦胴縁が見えます。
この上にラス(金網)板を貼りモルタルを左官で仕上げて吹付塗装します。


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1階南側外部。
2階のテラスの軒が見えます。軒が抜けている部分上部サッシは、1階ダイニング上部のLight Well。


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Light Well内観見上げ。
冬場の陽光をこの吹抜で取り入れて、自然光による明るさをダイニング、リビングに落とします。
このLight Wellは寝室の上部にもを計画しました。もちろん夏場の通風換気にも有効です。

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2階ダイニングからリビングと寝室をみる。
2階は、水回り以外は32畳の1ROOM。
左側が南面になりますが、1階のLight Wellがあり壁。
ハイサイド窓からの自然光で、十分な明るさを室内にもたらします。


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南東に位置する2階テラス。
5畳の広さで、眺望も良く、ダイニングと一体に利用できるよう計画しました。
軒の出が深いので、雨の日でも窓を全開してもOKです。
お施主さんはここでも酒盛りを楽しみしています。(笑


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