FC2ブログ
建築家・飯沼竹一のブログです。暮らしや住まい、家や建築、街などを通して見聞きしたこと、日々感じたこと、考えたことなどを気儘に手記にしています。四方山話も含めて呑気に続けて行こうと思います。 ご意見ご感想などお願いします。
スウェーデン式サウンディング試験は万能ではない
私の事務所の現在設計中の物件で、敷地地盤のボーリング標準貫入試験(※2)をすることになった。
木造2階建てで延床面積115㎡のごく普通規模の住宅である。

なぜ、その様な大げさな試験まですることになったかというと…
このお施主さんは、私どもに設計を依頼する前に、ハウスメーカーで見積を取得していたようで、無料だから是非地盤調査をさせて欲しいと営業マンから頼まれたらしい。工事契約が成立しなくても費用を請求しないし、その地域の地盤データとして蓄積できるのでそのハウスメーカーでもメリットがあるとの説明だったらしい。

そして、このハウスメーカーは、スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)を敷地の四隅で行った。

ところが、その結果はあまり地盤が良くないとの説明で、2箇所で4cmほどの不等沈下を起こす可能性があるという。その対策として14m鋼管杭を20本を打設して補強する…費用は概ね150万円也…そして、そのハウスメーカーは杭打設による補強をしない限り、工事を請け負えないとお施主さんに要求したらしい。

だから、私どもが設計委託を受けたときに、お施主さんは150万円ほどの地盤補強をするつもりで覚悟していたらしい。
しかし、私は現地を直接見て、地盤補強なんて無用だろう、という感じを持った。
その理由は、敷地は30年ほど前に宅地造成された分譲地の一角にあり、近隣の住宅をザッとチェックしてその様な被害が見つからない。お隣さんに地盤のことを聞いても良い地盤で沈下なんていう被害は聞いたことが無いと言う。
だから、お施主さんからこのハウスメーカーの報告書をみて、疑問ばかり出てきたのである。
付き合いのある土質コンサル会社に相談してみた。このコンサル会社の担当者も同意見であった。

そこで、施主にはもう一度SWS試験を実施して、地盤に問題ないことを確認して、無駄になるであろう杭工事の取り止めを提案した。
ただ、そのコンサル会社の担当者が、SWS試験をして、同じような結果がでたら、その先の補強方法の判断に困るだろう、と。だから、実費だけで構わないからボーリング標準貫入試験をやらせて欲しいと提案してきた。
考えてみれば、150万円も費用掛けて対策するよりも、ボーリング1本掘ることで、地盤強度が分かり安心して直接基礎を計画できれば、それに超したこと無い。お施主さんも私どもを信頼してもらえこの提案に賛同してくれた。


そして、ボーリング標準貫入試験が出た。
実はこの結果にも驚くべきことが分かったのだが、土質状況は地盤レベルから8mの深さまで盛り土であり、その下に関東ロームがある地層であった!予想外であったが、その盛り土は粘性土でN値(※3)という地盤の固さを表す値が3以上であった。だから結果として木造住宅レベルの重さの建築物は、補強しなくても十分支持できる地盤であることが確認できたのである。

さて、ハウスメーカーの報告書である。
結局、14m付近には関東ローム層の下のN値3の粘性土であった。この地盤ではおそらく鋼管杭が支持できないと思われる。つまり、14mまで鋼管杭を打ち込んでも直接建物を支持するわけでなく、ほとんど意味のない工事になると考えられた。

やはり、杭や地層深くまで行う地盤改良を選択する際は、SWS試験だけではより正確な判断を行うのが難しくなる。
いくら無料で地盤調査をしてくれると言っても、一般の建築主にはその結果報告をチェックできる知識は無いのだから、その営業手段には十分注意が必要な場合があると思う。

070604nt.jpg

※1:スウェーデン式サウンディング調査
鉄の棒(ロッド)の先端に円錐形をねじったようなスクリューポイントを取り付け、それを地面に垂直に突き立て、ロッドの頭部に1kN(100kg)まで荷重を加えて、ロッドがどれだけ地中に貫入するかを測る。貫入が止まった後、ハンドルに回転を加えてさらに地中にねじ込み、25cmねじ込むのに必要な回転数を測定。その結果を基に地盤の強度を判断する簡易的な調査方法。

※2:ボーリング標準貫入試験
ボーリングとは、地層構成の調査や土の採取及び標準貫入試験などを行うための孔(直径8cm)を掘ることで、標準貫入試験とは、ボーリングで掘った穴を利用して、土の硬軟や締まり具合、土の種類や地層構成を調べるための試験。

※3:N値
標準貫入試験で、重さ63.5kgのハンマーを75cmの高さから自由落下させ、サンプラーを30cm貫入させ、貫入に要する打撃回数を表す。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
住んでいる社宅が3年以内に廃しされることが決定し、目下次の住み家をを探しています。
予算も無いため、めぼしい中古のマンションなんかを見ていますが、建っている地面の下、壁の内側の構造・・・見えないし、素人には分からないことが多いいですね。

おまけに、先日CS(衛星放送)で再放送していた「日本沈没」なんか観てしまったので・・・
2007/07/07(土) 10:06:40 | URL | toropapa #-[ 編集]
中古マンションお勧めです
toropapa さん

中古マンションがお勧めですよ♪
そのうちこのブログにも書きますが、マンションは都心の人気物件などは別として、値下がり傾向は間違いないですから…
中古は青田買いの様な「売り建て」とは違い、現物を査定できて、更に値頃ですから築浅物件をメインに探してみてはいかがでしょうか?
2007/07/08(日) 12:41:17 | URL | takezo! #-[ 編集]
サウンディング
うちもハウスメーカが地盤調査してました。たぶんサウンディングです。○△不動産が付近一帯を開発した分譲地で○△ホームが建てるんだから自分のところで地盤情報持ってるはずなのに!?!?!?!?一応それなりの報告書が出来てくると素人は信じるしかないですよね!?!?
2007/07/08(日) 17:30:02 | URL | わに #-[ 編集]
そんなに心配ないと思います
わにさん
何だか余計な心配を掛けましてゴメンなさい。(苦笑)

○△不動産は宅地造成して分譲したのですね。
多くの造成地は盛り土だったり、切り土だったり色々で、1区画づつ調査したのだと思います。施工時期が浅い盛り土の造成地はやはり沈下が生じやすいので、ハウスメーカーでもかなり慎重になるはずです。
ワニさんのケースの建売あるいは売り建てであれば、今は、土地の地盤強度も補償しているので問題ないと思います。
2007/07/09(月) 14:25:34 | URL | takezo! #-[ 編集]
○△不動産
ご配慮ありがとうございます。そんな心配しているわけではないです。(^^; また色々と建築の内情教えてください。
2007/07/13(金) 22:24:38 | URL | わに #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック